酒乱     
 こめ生命いのちが生きるまで



要点・概要

正しく生きろと叫ぶけど
人の心は破れ耳
米のわたしを閉じ込めて
飲めや歌えの浮世花

本書「米は、いのちの光」の一節

 

『酒乱 米の生命が生きるまで』は、この著者の作品の中でまず一番おすすめしたい本です。この本を一言で表現すると「赤裸々ないのちの叫び」。「いのちとは」「心とは」という文字通りの “命題” について、体験を通じた非常に強いメッセージを発しています。

 

後年、この著者は『死んでも生きている いのちの証し』『神秘の大樹』という著書を出版していますが、第一作である『酒乱 米の生命が生きるまで』を読むと、なぜこの著者が、共時性を切り口にして「いのち」を語るのか、腑に落ちるだろうと思います。

 

私自身がそうであるように、自分の心なのに、自分のいのちなのに、なぜこんなにコントロールがむずかしいのか…大声で叫びたくなるような、張り裂けそうな思いを経験したことのある人はきっといるのではないでしょうか。

 

自伝的随想
(印刷版:全237ページ)

著者略歴:閲覧コンテンツ内

 

 

本文からの抜粋

どんな苦しい思いも、
どんなつらい思いも、
感謝にかえたまえ

本書「天の啓示に生きる妻」の一節

鳥海山

「妻は夫を警察から引取りに来たその日のこと、天井に響く階段の踊り場で、一瞬、心ひかれて外を見た。窓を額縁にして、天下晴れての秀峰・“鳥海山”の全容を一望した。…夫を憎んでどうなるものか。(中略)振り向いた妻は、鳥海山の澄みわたる沈黙の中から、限りなき永遠の響きを、身をふるわせながら、伝え受けたのであった。そして、心洗われ、諭されたのである。酒乱の勢いを借りて、女性問題を起こし、醜い嫉妬で人殺しまでやろうとした夫、その私を引き取りに来た妻は、こうして、峰の心に守られながら、憎しみの一切も消えていた。」

 

序 心の目覚め

 

酒乱地獄二十八年から目覚めた自分。目覚めることのいかに、素晴らしいことか。

今までの自分の、不調和な生き方から、本当に目覚めた時、生命の中から、喜びが湧いてくる。

その喜びは、生かし続けた、米の生命(愛)の喜びであり、透明な光となった、清酒の生命の喜びであり、食物一切の、生命たちの喜びである。

さらに、自然界の、生命たちの喜びでもある。

人となった、その生命たちは、真理(調和)の中で、生かさねばならぬと、祈り願った、愛の喜びである。

酒の生命に、目覚めることは、素晴らしいことだ。

酒乱人生を通して、五十八歳にして目覚めた自分。

死よりも強き力(生命)の中で守った妻。

自然界の心を生かされた妻の愛。

限りなき、生命の愛に感謝したい。

 

いのちの守り(いのちの原点)

 

 日々に苦しむ 夫の酒乱

 妻の苦しみ 見いかねて

 亡き人々も 立ち上がり

 米一同も 立ち上がり

 酒一同も 立ち上がり

 自然のいのちも 立ち上がり

 天地の愛が 立ち上がり

 妻よしっかり しなはれと

 いのち一同の 守り声

 守りの声は 文字となり

 いのちの愛が 文字となり

 夫の中で 生き通う

 生きて通わす 断酒の日まで

 働き続ける 米の精

 働き続ける 酒の精

 働き続ける 自然界

 守りの力 重なりて

 妻はここまで 生きてきた

 感謝の喜び 胸一杯

 米のいのちよ ありがとう

 酒のいのちよ ありがとう

 食べるいのちよ ありがとう

 天地の愛よ ありがとう

 やっと目覚める 我がいのち

 天下晴れての 人の道

 いのちの原点 ここにあり

 


 

酒乱 目次

 

 

序 心の目覚め

地獄期

酒乱の断末魔

自然界が諭す〝生命の声〟

母の生い立ちと因果の流れ

酒精に呑まれた父

墓の塔婆木に化けた魚代金

天に詫びる母

不思議な因縁の組み合わせ

頭上を飛ぶ御鉢

酒乱因子の吹きだまり

慈愛一路で生きた母の最期

母の心残り

目覚めなき、父の最期

酒飲みの血統に向けた神の矢

酒害因子の開花

酒乱人生の開幕

母子心中を超越した〝妻の一念〟

天の啓示に生きる妻

妻子を残して土方三昧

真っ赤に走る一台のトラック

お上り乞食の一夜の浅草

難行苦行の人あれど

久しく燃える酒乱の炎

守護の窓口となった妻と自然律(悪は、この世の仮りの姿)

息詰まる死の恐怖

泊められない宿

酒乱と嫉妬の協奏曲

神の絵図面を歩く夫

噴火口に真っ逆さまの霊夢

神のお膳立て、四十五歳計画

天馬のごとし女神の妻

神と魔の対決

澄みわたる妻と錯乱の夫

妻の〝心釈き〟(Tさんと日光のサル軍団)

酒乱の先祖おろし

一心同体、生命の運命

千日悲願(米の生命が生きるまで)

神技一瞬、〝刃に変わる水柄杓〟

神が手向けた女の魔神

黎明期

地獄に降ろされた御神火

酒乱童子の成仏

心霊への誘い(死後に残る津波の恐怖)

人間改造への突入

七羽のカラスに襲われたガタガタの体

酒乱の因縁と闘う自己解体

妻との葛藤

浄土へ向けての過渡期

酒乱成仏、息子に残してなるものか

米は、いのちの光

生命の樹

輝け、人生の扉開き

むすび

奥付

 

 

 


天の啓示に生きる妻

 

 断酒数年前のこと、妻は、ある声なき声を聞くことがあったという。

 酒乱の断末魔が、響きをあげて近づく頃のこと。酒乱のやり口には身ぶるいするほどの恐怖を感じながらも、その中にあって、夫の狼藉にもいつしか感謝の気持を持てるようになっていた。

「お父さんのお蔭で、沈黙世界から、その心をいただけるようになりました。お父さん、本当にありがとうございます。」

と、どれほどに恐ろしい難儀だったことか。言うが早いか、顔をしばたたせながら、泣き出してしまっていた。

 ある日のこと、刃物を振り上げている夫のため、家へ入ることもできず、たった一人の妹に助けを求めて駆け出して行ったが、巻き添えが恐ろしくて、家に寄せて休めさせてくれなかったようだ。あまりの酒乱の恐ろしさのため、そこの小屋にさえも、休ませてもらえなかった妻の憐れさ。

 寒気が身をつんざく酷寒の夜。天を仰いで、無心の生命の中から、

「どんな苦しい思いも、どんな辛い思いも、感謝にかえたまえ」

と、心の奥深く刻んだ妻への伝言。

 それを区切りに、妻は一心に、夫のいかなる乱行にも、ただ一念に頭を下げ、どんな苦しい思いも、どんな辛い思いも、すべて感謝に変えていくことに徹した日々を過ごすようになった。

 この感謝に徹する日々こそ、神に生命を捧げ尽し切って得た、心開きの難行苦行であった。

 ついに、妻の生命には、自然界の生命の愛が全開することになる。

 ある日のこと、妻はこんなことを話すのであった。

「お父さんが悪いのではありません。米の生命がわかるまでの教えなのです。すべての食べ物、人参一本、大根一本、魚、なんでも、みな尊い人間を生かし続ける生命の元です。

 人間以前のこの生命たちの、尊く、汚れない食物たちから、生命の声が聞こえます。食物たちの生命は、それぞれ違う者たち同士ですが、人間のように争うことはいたしません。

 口から入った、いろいろな食物の生命は、一糸乱れず、人の生命を守り続けます。

 そうして、一本道の人の体を通り、ふたたび、自然界へと戻っていく生命たち。

 その代表である米の生命は、酒となり、神々にも捧げられます。透明で、汚れない姿となって神に供えられるのです。

 その、米の生命を見て、悟って、お父さんの心も、米のように、汚れない心となるまでのお役目でした。

 私は、このことを教えていただき、お父さんに、本当に感謝しなければいけないのです。ありがとうございました。」

 私は、この奇想天外な話に面喰らうばかりで、感謝しないといけないのは、こっちのほうなのに、尋常ならざる超越世界を垣間見た思いだった。

 息詰まるような酒乱の歳月の中で、妻のその辛い苦しい地獄から救う神の業であったと考えている。どんな過酷な試練をも、感謝、喜びに変えて生きていく、恐るべき神の智恵が授かったとしか言いようがない。

 米の生命がわかるまで、そして、その米の生命が生きるまでの酒乱劇。これは、永々百年に及ぶ、母と妻の二代にわたる女神のような守りであった。

 

 

米は、いのちの光

(前略)

(二)

噛んで呑まれる このわたし

じっくり思う 胃の中で

今からわたしは 人間に

なって生きるを 誰が知る

知ってくれとは 言わぬけど

米の尊さ 今一度

(三)

煉りに煉られる 胃の中で

次は全身 いのち旅

隅の隅まで 血となりて

肉となりゆく 流れ旅

分かってくれとは 言わぬけど

米の尊さ 今一度

(四)

五体になった 米いのち

正しく生きれと 叫ぶけど

人の心は 破れ耳

米のわたしを 閉じこめて

飲めや歌えの 浮世花

米の心は 誰が知る

(後略)

『酒乱』p.218~220より抜粋

 


 

むすび

 

 私は今、酒乱物語を書き終えて、これで丸裸になったと思っています。これまでの、ドロドロへばりついていた諸々の執着が、ほとんど崩れ落ちたと感じています。

 心を浄めるために、ずいぶんと荒っぽいこともやりました。そのため、本書の中にも、四角ばったことや、理屈っぽく、偉そうなことも書いてしまったかもしれません。それは、悪性に対する激しい義憤からでたのも事実です。

 今は、そうした気負いも、極度に薄れてきました。それは、生命の真実が見えるところまで来たからではないでしょうか。

 毎日毎日、飲んで、食って、寝て、たれて、むき出しの欲望に生きる人生からは縁遠い日々となりました。

 絶妙なる、大バランスの生命世界に魅せられることとなり、これからは生命をテーマにした人生を歩みたいと考えています。

 また、昨今は、人様の幸せを念ずる心が湧くようにもなりました。過日、宿泊したホテルでのこと、隣りの部屋では酔客たちの醜悪な会話が一晩中続いていました。それでも私は腹も立てずに、むしろ念ずる心を持つことができたのです。 

 

米のいのちが 生きますように

酒のいのちが 生きますように

いのちの光が 輝きますように

いのちの愛がみなぎりますように

いのちの調和がひびきますように

 

と、何度も心の底から念じました。

 すると、不思議にピタリと静かになったのです。

 この時私はただ念じたのではありません。下腹部に両手を当ててお願いしたのです。下腹部には、「稲穂(米の籾)と太陽の写真」を肌身離さず付けているのです。妻が一カ月前に作ってくれたものです。

 米の籾は、条件次第では、不滅のエネルギーを発揮します。何千年経っても発芽すると言われております。

 米は、宇宙生命エネルギーの波動(意識の響き)そのものであり、人類に授けられた究極の救い主であると考えます。一粒の米には、広大無辺の宇宙生命観が溢れています。そして、米や食物たちは、まさに沈黙のブッダでもあるのです。

 私は、自然界の“いのちの光”を、米(酒)を窓口として学ぶことができました。

 ご縁の皆様に心に響くものがあったでしょうか。一片なりともあり得たなら幸いです。

 ここまでくるには、自然と共に生きる妻、富美子の、命賭けの守りを受けてきました。その守りがあったからこそ、ここまで心を浄めることができました。改めて感謝します。

 また、理解できず、いろいろと批判されながらも、妻を信じて見守ってくれた方々にこの場を借りて心から感謝いたします。

 さらに、今回の出版の機縁として、(株)東京経済・渡辺勝利社長との心霊的出逢いに導いてくれた心々に感謝申し上げ、そして、社長の人間味溢れる真心に改めて感謝いたします。

 また、乱暴な素人文章を終始ご指導の上、忍耐強く編集されたMBC21の大脇編集長をはじめ、スタッフの皆様に心からお礼を申し上げます。

 本当にありがとうございました。

 

平成5年1月11日

菅原 茂

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米(食物・自然界)の生命愛に身も心も重ねることで、波乱万丈な人生もどんなに苦しい思いも澄み切ったものへと昇華した著者夫妻。その二人が遭遇した共振共鳴共時の記録は、「こころとは」「いのちとは」という命題に対する答えの証しです。