共時性現象を通して観る生命
米(食物・自然界)の生命愛に身と心を重ねることによって光を見いだし、波乱万丈な人生も、どんなに苦しい思いも、感謝へと昇華した著者夫妻。その二人が「こころとは」「いのちとは」という命題について著した本の情報を集約しています。
表紙:ページ内リンク
【自分史】
【自伝的】
【随想写真】
【物語】
神秘の大樹シリーズⅠⅡⅢⅣ
【物語】
【物語】
【随筆】
【随筆】
【随想写真】
【随筆】
酒乱地獄との死闘。「自分」とは何か、もがき続けた著者。並々ならぬ苦悩の末ついに〝自然界の生命愛〟が全開した妻。その深い生命愛に守られながら、やがて酒乱と決別し自分のいのちに目覚めてゆく。夫婦の半生から見えた答えと、二人三脚で新たな生き方を再出発させるまでの道のりを語っている。飾り気のない赤裸々な文章は、夫婦で非常に普遍的な命題へと向き合ってきた半生を如実に表しており、インパクトある表紙に違わぬ印象的な内容。本作を読むと、以後なぜこの著者が共時性を切り口にいのちを語るのか腑に落ちる。また、なぜ何冊も著書を書き残しているのか、なぜその中に夫人の話が度々出てくるのかが理解できる。
夫人の〝生命愛〟による守護の中で、酒乱の因縁から自分の生命に目覚め、いのちへの誠実な思いを深めていった著者。〝自己調和〟をむねとする日常生活において試行錯誤する様子をありのままに綴っている。第一章は自らの日記から抽出した文章(エッセイ)。五十歳代での第一作『酒乱』のような荒ぶるエネルギーが満ちた赤裸々な内容とはちがう。また六十歳代から七十歳代にかけた著書『いのちの証し』『神秘の大樹』のように、共時性現象の記録と考察といった内容でもない。自然界とヒトとの距離感を憂い憤りつつ希望の光が見える『いのちのふる里』とも少しちがう。八十歳を超えた著者。本作からは、いわゆる「渾身の力作」という印象は受けないかわりに「自然体」という表現が似合う等身大の生きざまと、その心(生命への感謝、夫人への感謝)が伝わってくる。
食と農といのちの実情を直視せず、その重大さに実感がもてない現代の私達。時代が移り変わり社会が発展しても、人の心身が培われる原点は変わらないはず…。私たちの身と心は原点を取り戻せるのか。単純に「経済的な豊かさ=有意義な生活」ではないことはもはや明らか。人間の本質は社会や文化・文明が生み出した物事との関わりの中で生きている以前に、自然の一部としてのいのちであり、あらゆる立場を超えた「いのち」の視点では、だれもが等しく自然界のいのちに生かされている存在であることを指摘している。大判で鮮明な写真の美しさも目を引くフォトエッセイ。いのちを育む水と土、そして田んぼと稲に視点を絞り、「ビジネス」とは無縁の小規模農業を続けることで、結果的に自然界の正常な営みを保全してきた農人たちへの敬意、そして反自然へと突き進んでいてもなお「都会」生活を謳歌する社会への憂いと憤りが、非常に強く表れ出ていると思う。
ともすれば、私たち人類はあらゆる生物の頂点に立つ最も優れた存在であると勘違いしがちではないだろうか。たしかにヒトは万物霊長の存在と言われるが、著者は〝万物霊同〟の視点で生命世界を観ている。また、この世のすべてに心性エネルギーが潜在または充満しているという世界観は、宇宙観にも通じると言えるだろう。その点では別著『いのちの顔』とも共通しているが、それとも少し異なる作品である。本作は題名のとおり空に映える富士山と雲に特化した非常に美しい写真、それにまつわる短編の創作物語(イソップ物語風の寓話)が中心をなしている。
ある面、意味深長かつ示唆に富む物語。平和という人間社会の命題を扱っている。第一章では「現実を生きる自分が、実は億万年から連なる亡き心たちの複合霊体(魂)であること、そして、死んで消えたのではなく、心は実に生き生きと輝いていて、自分を自分たらしめている原動力であるということ、そして、死んでも生きている心の世界」(本文より抜粋)について述べている。第二章は、登場人物の会話が主体の文章だが、「食」に触れている箇所は、おそらくこの本の核心だろう。本作には『日月神示(ひふみ神示)』「アレの巻」の重要な一節も引用されている。シリーズの中で最少ページ数の本だが、中身が濃い。一見したところ空想物語のようだが、他著と比べて最も本質的な内容を含んでいると感じる。
心の世界・縁の世界がコミカルな物語になったシリーズ第四巻。第二巻では心の世界を中心に描いているのに対して、日本列島を旅する田之助が現実の縁を通して、心とは何か、いのちとはどういう世界かを学んでいくストーリー。実際、酒乱から自分のいのちに目覚め始めた著者は、妻への感謝と葛藤、複雑な思いがぐちゃぐちゃに交錯するなか「妻から逃げ出そうとして」、「我が身の、あまりの不甲斐なさに身を切られる思い」(ともに別著『酒乱』)から放浪旅へと飛び出す。そして目には見えない存在に導かれるように次々と共時性現象に遭遇。登場するそれらはすべて実体験をもとに描かれている。同シリーズの中で最も親しみが湧き読みやすい本作。心温まる重要な点に気づかせてくれるはずだ。
いまを生きている自分(あなた)自身の存在こそ、肉体をまとい、服を身につけている霊魂そのものだという。霊魂というと、わが身の外に存在し、わが身の外で起きる「現象」と考えがちだが、そもそもそれは、私たちの体や心に内在し、わが身の中で起きていることがらなのだ。「過去世の心(死霊)と、この世での心(生霊)の複合霊が自分(本文より抜粋)」このような記述が頻繁に出てくる。心は霊的な磁場であり、いのちの中で活躍する人魂(霊)の影響を、大なり小なり私たちは受けているということ。25の具体的なエピソードを通して伝えている。
個人的な例から社会的な事例まで紹介するシンクロニシティのエピソード集。長い年月を遡ると、一人のひとには、おびただしい数の祖先が存在しており、人間以前の生命にまで巻き戻すと、やがて地球・宇宙へと行き着く。その由来は精神世界とて同じ。みな〝霊脈〟でつながっていて、私たちの生命(小宇宙・潜在意識層)の中にそれら全てが脈々と流れていると述べる。また、文字・数・色の符合(共時性現象)は、自制と調和を促す現象ではないか自らを見つめることで冷静に見極め、自己を調和させる視点をもつことの大切さを伝えている。
いのちは動植物ましてや人間だけのものではなく、万物に宿るという生命観は究極的に宇宙観へと通じる。生命をどこまでもさかのぼれば、生命の起源が宇宙にあることは明らかだ。森羅万象に共通するいのちの原子という点を踏まえて写真に映る〝霊顔〟を眺めてほしい。(以下、まえがきから抜粋)「この〝いのちの顔〟は、主に、雲を筆頭にしたものが多くなっている。客観する皆さんには、必ずしも〝顔〟や〝ある形〟に似ていると思うかどうか、(中略)。俗に、偶然の出来事として、面白おかしく取り沙汰されていることでも、私にしたらとんでもない関心の高い領域であるから、子細なことでも記録に残してきた。この体験記録を改めて観ていると、そこには示唆や啓発に富んだ情報の多いことに気づかされる。」
共時性とは何か、どういう現象のことをいうのかがよくわかる。「共時性」という切り口からは誰も「食」を連想しないはず。〝死んでも生きている〟という副題からも、「食」を関連づける人はたぶん居ないにちがいない。シンクロニシティの例が数多く登場するが、この本の一大テーマはタイトル通り「いのち」である。好奇心をいたずらに刺激する現象がテーマではない。私たちはすっかり鈍感になってしまっているが、間違いなく生命の中心は食。この本はその本質に触れており、表紙の稲穂は、それを象徴している。
内容の特徴
✳︎図書館は別途検索・確認が必要。
スライド | ダウンロード | ウェブテキスト | Apple Books | 図書館✳︎ | 発 送 | |
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酒乱 米の生命が生きるまで |
○ | ○ | ○ | ○ | ||
死んでも生きている いのちの証し |
○ | ○ | ||||
いのちのふる里 | ○ | ○ | ||||
いのちの顔 | ○ | ○ | ||||
神秘の大樹Ⅰ 偶然が消える時 |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
神秘の大樹Ⅱ ヒロシマとつる姫 |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
神秘の大樹Ⅲ 文字・数・色で証す新次元 |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
神秘の大樹Ⅳ 田之助とミロクの亀 |
○ | ○ | ○ | ○ | ||
神秘の大樹Ⅴ 命と心と出会いの縁 |
○ | |||||
富士山と雲と神様 | ○ | ○ | ○ | |||
いのちの エッセーと詩歌集 |
○ | ○ |
2023年(令和5年)10月時点
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