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神秘の大樹だいじゅシリーズ第四巻
神秘の大樹
 田之助とミロクの亀

神秘の大樹シリーズ第四巻「田之助とミロクの亀」装丁

 

 

 

前編―旅立ちから屋久島へ

 

 意識を変えようと思ったのは昭和六一年一月のことでした。そして、すでに五年の歳月が過ぎていました。意識を変えるといっても、それにはそうせざるを得ない波乱の生きざまがあったのです。

 意識改革は、心の内界により一層深く潜入してその扉開きを押し広げてゆかねばなりません。そこは現実とうって変わって、宇宙感とも生命感ともいえる世界で答えの出しようもない世界です。

 動と静の交錯する息づかいが迫ってきます。それを自覚しつつ再び浮上して現実意識へと戻ってきます。

 このように、現実世界と内界の生命世界を往来しているうち、その往来の繰り返しがある種の精神的葛藤となり、抑圧できない激情すら伴い、家を飛び出す衝動に駆り立てられたのです。平成元年も今回と同じようにして四一日間の放浪の旅に出たのでした。

 今回もまた、妻には無断の放浪なので、帰るまでは一切連絡をしない覚悟で出発することにしました。平成二年六月一九日・火曜日・午前四時五〇分の早朝、車を乗り出した私の姿は、はたから見れば全く滑稽そのものだったにちがいありません。

 それからどれほど走ったでしょうか、私は全身から静かではあるけれど次第に意識の薄れてゆく感じに包まれていました。

 ハッと気が付いたとき、凄い圧力でハンドルの両の手がぐるりと左に回転したかと思うと、不思議なことに走る視界はがらりと異次元世界に急変していました。

 私の体がふわりと浮いたかと思うと、そこはすでに乗っていた車ではありませんでした。私は黄金に輝く舟の中に立っていたのです。

 目に見える周囲の風景はありません。海も山も川もなにもかも見当たりません。あるのかないのかもわかりません。それは、舟の輝きですべてが打ち消されていたのです。

 すでに私は私ではありませんでした。舟は凄いスピードで飛んでいるようです。

 どれほど過ぎてからでしょうか、頭上から一斉に鈴の音が鳴り響きだしたかと思うと、次の瞬間ぴたりと鳴り止みました。すると、深遠のかなたからエコーのきいた太い声が聞こえてきました。

天の声「やあ、

よく来てくれたなあ

ここがどこであるか

君にわかるかな

これからはしばしの間

一緒に

旅をすることにした

そこで

君にこの世界を少し

紹介して

おくことにしよう」

 声はそう言ったかと思うと、急に消えてしまいました。

 舟の中央では、私であって私でない私が立っています。不思議と静かで迷いすらありません。ただ私はいったい誰なのかと考えています。その時再びエコーのきいた声が響きわたりました。

天の声「やあ、待たせたなあ

それじゃ

これからのことを

少し話しておこう

今君が乗っている舟は

 〝いのち舟〟といって

この舟をさえぎるものは

何一つない

いのちは光だ

海でも山でも大地でも

通行自在の舟だから

安心するがよい

それから君には

見えるかどうか

わからんが

いのち舟には、

わしの使いの者を

乗せておいたから

安心して話し合うがよい

舟の舳先にいるのは

 〝ナビ大王〟という

先々のことがわかる

君の道案内を受け持つ

責任者だ

君のうしろには

 〝かずたま姫〟

が乗っている

君は

知って居ると思うが、

このいのちの世界は

数霊によるひびきが

この世界の安定のために

中心となる働きを

しているものだ

かずたま姫は

数霊に

くわしい方であるから

充分話を

聞くようにしなさい

また、時によっては

 〝もじたまの皇子〟と

 〝いろたま姫〟が

乗り降りするから

仲良くするように…

さて出発する前に

覚えてもらいたいのは

君の

名前のことなんだが、

このいのち舟では

 〝田之助〟という名に

変えておいた

確か現実世界では

 〝茂=しげる〟

と言っていたなあ

その名前も

役に立つこともあるから

忘れんようにしなさい

さて最後に

このわしのことだが

 〝いのち舟の持ち主〟

じゃよ…

天の声とでも

覚えておくが

よいだろう。

以上であるぞ

それじゃ

ナビ大王

出発進行せよ」

 天の声が合図を出すといのち舟は一段と光を輝かせてスピードを上げていきました。

 いのち舟の田之助は、若々しい好奇心にあふれた青年でした。

 田之助はナビ大王に話しかけてみました。

田之助「ナビ大王

聞こえますか?」

ナビ大王「田之助くん

何か用ですか?」

田之助「ここは

どのあたりでしょうか」

ナビ大王「ここは

新潟県に入ったところで

ぶどう峠の中ほどです」

 その時、うしろから響きを上げて大型トラックが追い越していきました。

 田之助は現実世界からの客人であるから、追い越しなどは一切気にしません。またいのち舟にはあらゆる電子装備があるので、追い越したトラックナンバーはモニター(監視装置)に映し出されます。そこには「青森 88−405」と出ていました。これを見た田之助は驚きました。

 その様子を後ろで見ていたかずたま姫は、

かずたま姫「あら田之助さん

あなたが奥さんに

無断で出て来たときの

時間じゃないですか

四時五○分で

出て来たことは

お見通しなんです

トラックを使って

そのことを知らせたのよ

88は

田之助さんの

お米でしょう

また、405は

出て来た四時五〇分と

一緒なんですよ」

 そう言われた田之助は、これはえらいことだと思いました。

 いのちの中ではなにもかもお見通しになっていることを知った田之助は、長い時間を考え込みながら無言で過ごしました。

 いのち舟はスピードをぐんぐん上げています。田之助がうとうとしていると、

ナビ大王「さあ

すぐに「寺泊」という

海鮮市場まえに

到着しますよ

そこで水族館を

見ることにしましょう

下船はしなくてよいので

乗ったままの見学ですよ

いのち舟は

宇宙の

いたるところまでも

乗ったままで

旅をすることが

できるのです

どうですか田之助くん」

田之助「もうバッチリ

目が覚めました。

うれしいなあ」

 田之助の喜びようはただごとではありません。

 いのち舟に乗ったままでコンクリート造りの水族館に自由に出入りできるなんて全身はちきれんばかりの喜びでありました。

ナビ大王「ほら田之助くん

見てください

手を振って 海亀が

歓迎していますよ

かわいいでしょう」

田之助「大きいなあ、

海亀くんこんにちは」

 田之助は目を輝かせて海亀にあいさつをしました。

ナビ大王「田之助くんは

いのち舟のように

輝いているから

私も嬉しいです

旅は

始まったばかりですから

今夜は少し先のところで

休むことにしましょう

その前に良寛和尚に

逢っていきますが

田之助くんは

どうしますか」

田之助「おねがいします」

 ナビ大王がそれじゃあと言ったかと思うと、いのち舟はすでに良寛記念館の中におりました。

 ここでは数人の観光客が館長の説明を受けていました。途中から入った田之助も舟に乗りながら一緒になってお話を聞いていました。観光客たちは田之助のいのち舟には何一つ気づいていません。

 館長は元々、町の教育長をされた荒木秀三という八四歳のお方でありました。荒木さんは良寛の人柄を一口で表すならば、良寛が弟の由之にあてた手紙を読むと一番よくわかると言いました。「それは、何事もそのことに落ちない心、片寄り過ぎない心、自制心と節度のある心を持つことが大切なのです」と、人の生き方を説いていることを説明していました。

 真剣に話を聞いていた田之助は驚きました。なんと館長の隣に、ころも姿の良寛和尚さんがニコニコ立っていたのです。その後ろにも四人の僧侶が並んでいました。さらに館長は話を続けています。

 良寛は、日本の五大仏教人の一人に上げられていることや親鸞上人、日蓮上人、道元禅師、弘法大師(空海)、そして、良寛和尚の五人それぞれについての話をしてくれました。

 話を聞いていて離れようとしない田之助でしたが、ナビ大王が出発の合図を送ると、いのち舟はあっというまに富山県に入っていきました。次は朝日町の小川温泉・天望閣前の路上にいのち舟の光を休めることにしたのです。

 その夜、田之助はどうしても寝付かれないでいましたが、やがてうとうとしはじめました。そのとき田之助の耳元に一匹の蚊が羽音をたててやって来ました。羽音が爆音に変わり、思わず田之助の手が蚊を打ち落とそうとしました。そのときハッと田之助の心にブレーキがかかりました。

 蚊も生きねばならないのです。食べる血をいただかないと死んでしまうのだと田之助は思いました。自分だって毎日ご飯をいただいて生きているではありませんか。蚊も自分も同じいのちの兄弟なのだと目を覚ましてしまいました。

「どうぞ、どうぞ!」

 と、田之助は蚊に言いました。蚊から吸われる一滴の血液を惜しんで殺してはいけないのだと思い、吸われるままにして、互いに生きようといわんばかりに田之助は眠りにつきました。すると

天の声「田之助くん

よいことに

気が付きましたね

でも、一〇匹の蚊から

お願いされたら

どうしますか」

と、耳元でささやくように優しく問うのでした。それを聞いて田之助は一瞬ぞくっとしました。そして、ひとりでに笑いが湧き上がって来たのです。

 実践のできない立派なことを言った田之助ですが、やはり、蚊は嫌だと思ったのです。徹底した犠牲心や奉仕の心がないことを悟り、たった一つの自分のいのちを大切に思いながら田之助は深い眠りについたのです。

 田之助は雨の音で目を覚ましました。初めてのいのち舟の旅で疲れたせいか熟睡をしたので、雨は降っているけれど心は爽やかでした。

 今日は六月二〇日水曜日です。目覚めるとふと豊女婆さんのことが田之助の心をよぎりました。この時、ナビ大王が声を発したのです。

ナビ大王「田之助くん、

出発しますよ

今、君は

豊女婆さんのことを

思っていましたね

お話するといいですよ」

 田之助にはそれが何のことなのか察しがつきませんでした。そのままいのち舟は出発しましたがその時午前四時五〇分になっていました。

 舟は国道八号線上を走っていきました。田之助はひそかに思いを巡らせました。「今日は二○日で豊女婆さんの月の命日だ。そして、今国道八号線を進行中。そういえば妻は八日生まれだ。そして、今朝の出発が昨日と同じ四時五〇分。これは数字が何かを諭して居るのではないか。いや、そんなことはありはしないだろう」。すると、姫がうしろから声をかけてきました。

かずたま姫「田之助さん、

あなたの思い

全部聞いていましたよ」

 田之助は、独りで思っていたこと、わかるわけないのに、と不審そうにしていると、

かずたま姫「あら、

信じないのですか

こころに思うことが

聞こえないで

どうしますか

私達には

安全弁があって、

聞きたいときは

聞けばいい

だけのことですよ

いくら内緒にしていても

全部わかるのですから

あなたが思っていた

豊女婆さんと奥さんが今

隣に来ているのに

気づかなかったのですね

今日は二〇日で

豊女婆さんの月命日で

国道八号線と

奥さんの八日生まれが

共振する

あなたは

そう思ったのでしょう。

気持ちの優しい方ですね

でも、優しすぎても、

すぎなくても

いけないし…

とにかく思うこと、

特に数字のいのちは

宇宙の源流

のようなものですから、

まさしく現実世界に

その姿となって

現れるということ

覚えておいて

くださいね」

 そう言ったかと思うと、かずたま姫の姿は消えていました。ところが、ナビ大王がその話を続けました。

ナビ大王「田之助くん、

びっくりしましたか

いのちの世界では、

心がすべて姿となって

形を現わすんですよ

特に、

数のいのちは、

この世界では

日常語に

なっていることを

知っておくと

いいですよ」

 そのとき、ナビ大王には何か大切な通信が入っている様子でした。それが終わると

ナビ大王「先々に用事が

ふえました」

と言って舟の速度を早めました。

 舟は、高山市の福来心霊研究所と福来博士記念館の前で一時停止をして、無言のあいさつを終え、白山スーパー林道を通り、夜遅く福井県の勝山市に到着しました。いのち舟は路上で静かに田之助を守りながら休んでいました。

 やがて夜も明けて、六月二一日木曜日になりました。勝山市を出発したのは朝の四時一二分です。

 四一二という数のいのちは、田之助にとって記念すべき数霊です。昭和三四年四月一二日は田之助の結婚記念日なのです。そのことは、ナビ大王もかずたま姫もいち早く察していました。それを知ってナビ大王はいのち舟を自動操縦に切り替えて出発したのでした。

 自動操縦になったいのち舟は、ナビ大王の調査書を元に操縦されます。ナビ大王は、田之助の心の内をくわしく調べておいたのです。田之助がこの旅で一番考えたいことは何か…また、何を知りたかったかを。

 ナビ大王は、田之助の心の中心に、いのちとは何か? 心とは何か? 共時性現象はどうして起きるのか? 縁のメカニズムについて…等が命題であることを知っていたのです。このことを田之助に知らせるにはどうしてもこのいのち舟に乗ってもらい、ナビ大王の案内のもと体験学習させることが一番であったのです。こうしていのち舟はナビ大王の調査書をもとに自動操縦で走り続けました。途中で田之助の心の片隅にあった永平寺に参拝をし、武生市の紫式部ゆかりの地にも立ち寄り、国道八号をスピードアップして京都方面に向けて進みました。

 敦賀市を経て途中から国道一六一号に入り、さらに国道三〇三号から国道三六七号へといのち舟は進みました。

 この国道をわずかに進んだときのことでした。ナビ大王はいのち舟を手動に切り替えました。いったいどうしたことかと田之助は興味津々です。スピードもぐんと落ちて辺りの風景もはっきりと見えて来ました。前方に黒い何かを目にした田之助は、あれは何であろうかと思っていましたがすぐ目の前に来た時、それが「亀」であることがわかりました。そのときナビ大王は、何がどうなるかはすべて知っていました。

 ナビ大王は田之助がどうするのかと黙って見守っていました。田之助はそこを通り過ぎるとき亀が田圃に渡ろうとしているのを見て、頭を何かで叩かれた感じになってハッとしました。

 

あっ亀が危ない

田圃の中は農薬が危ない

亀をどこかに移動させなければ

 

と、田之助の心は早鐘を打っていました。

 そのことを知ったナビ大王は、いのち舟を素早くUターンさせて亀の前にぴたりと停止させたのです。喜んだのは田之助です。寸前のところで横断されれば亀を見失うところでした。亀の前で田之助は、

田之助「農薬のない

きれいな水に

連れて行くから

安心してください。

私は

田之助という者ですが、

いのちにやさしい

自然の田圃を

目指しています」

と自己紹介しながら少し前方を見渡しました。そこには願ってもないお寺の池があることを知りました。看板には、国・名勝庭園興聖寺(旧・秀隣寺)と書かれていました。

 どうしてこんなにタイミングよくここにお寺があるのか、田之助は不思議千万でした。その思いはナビ大王に同時中継になっています。田之助には、いのちの世界を大いに体験してもらい、納得ゆくまで学んでほしかったナビ大王は、ひとりニコニコしていました。また舟の後ろではかずたま姫もニコニコしながら田之助の行動を見守っていました。

 田之助は迷う事なくその亀を名勝の庭園の池に放しました。

 澄み切った池の水の中には生き物は何も見当たりません。亀は今日からここの主になったのです。ほっと安心した田之助は亀と共に幸せ気分になりました。いのち舟に戻ると、よいことをしたなあ…と、ナビ大王も大変喜んでくれました。そして、亀との再会を思いつつ、いのち舟は一段と光を輝かせてそこを出発したのです。

 田之助の心は亀のことでいっぱいでした。出会った亀に名前をつけて一緒の旅をしようと考えていた田之助に、亀にばっちり似合う名前が浮かんで来ました。ここの国道は三六七号であるからと、その二字をいただいて、「ミロクの亀」(三六の亀)と名付けました。

 そのことを言わずと知ったかずたま姫は、ことのほか喜んで声をかけてきました。

かずたま姫「田之助さん、

いい名前ですね

国道の二文字を戴くとは

あなた

今日は冴えていますね

ミロクの亀

(三六の亀)は

天地に通じる名前です

仏教では

弥勒菩薩といいますね

今日からは

ミロクの亀と一緒の

旅となったのですね

奥さんも

喜んでいますよ」

 かずたま姫は、数霊の三六と一体の名前を知って、ことのほか喜んだのでした。ナビ大王はミロクの亀(亀の魂)が乗船したことですごく張り切っていました。そして田之助はミロクの亀と一緒になったことで旅の前途が広がって来ました。

 すでに京都を通過して神戸港から瀬戸内海の上を進行中です。ナビ大王は上機嫌でアドリブの歌を唄っています。

空は青空 心も青空

海はそよ風さざ波わたる

気分上々ミロクの亀よ

かずたま姫も

ナビの大王このわしも

田之助乗せていのち旅

天下晴れての亀の旅

 田之助には行く先々はわかりません。ミロクの亀の魂が加わっていよいよナビ大王は張り切っています。縁結びはすべてナビ大王の舵取りです。いのち舟は淡路島に上陸しました。水平線の上はうっすらと白んでいるものの、島はとっぷりと夜のとばりに覆われていました。いのち舟はしずかにエンジンを休めることにしました。ここは津名町佐野地区の海岸です。田之助はうとうとしながら今日の出会いを振り返っていました。側では新入りのミロクの亀がムガムガムガムガ…と寝息を立てて眠っています。それにつられて田之助も深い眠りの世界に入っていきました。

 するとどこからともなく呼ぶ声が聞こえてきました。

?「シゲル

シゲル

シゲル…

オマエハ

シゲルデハナイカ…」

 はっと気づいた田之助は、

田之助「私の名は田之助です。

シゲルではありません」

と答えると、

?「いやいや

お前はいのちの親さまが

名付けた心の名前

即ち 心の名前の

 〝田之助〟なのだが

この旅の前までは

 〝シゲル〟

という名前だったのじゃ

本名は

 〝しげる(茂)〟なのじゃ

田之助は

いのちの世界の

名前なのじゃ

お前はなあー

田圃で育った

お米の子であるから

いのちの親様は

田之助と

呼んでいるのじゃ

こちらは、

自動車や

飛行機が

飛び交う

現実の世界なのじゃぞ

今は 田之助と名乗って

いのちの世界で勉強中の

学生なのじゃ

また 夢の世界で

逢いに来るよ」

と言い終えるとその声は消えました。

 確か同じようなことを旅の始めにいのちの親さま(天の声)から聞いていることを田之助は思い出していました。が、その声とはやはり違っていることは確かでした。田之助はその声の主に夢の中で「夢オヤジ」と呼び名をつけました。そんなとき、今度は姫の声がひびきました。

かずたま姫「田之助さん、

夢の中で

聞いていてくださいね

この宇宙の調和原理は…

数のいのちが

中心となって

いるのですよ

少し

むずかしいと思うけど

そのことを知っていると

この旅も楽しくなるから

忘れないでくださいね

数のバランス、

即ち量のバランス

と言ってもいいけれど

いのちを造っている

元素の配分で

田之助さんの体も出来て

いるのですよ

何につけても

数のバランスが

その鍵を

握っているんです

だから数字には

大切な意味があることを

知っておいて下さいね

また

いのちの元素は毎日の

 〝食事〟からいただいて

いるんですよ」

と言い終えると夢の中の姫の声も消えてしまいました。こうして佐野漁港の一夜は田之助の学習時間になっていたのです。

 少し寝不足気分で朝の目覚めを迎えたその日は、六月二二日金曜日・四時五九分の起床となりました。

 ナビ大王は夜中の夢のことを漏らさず知っていました。ナビ大王こそ縁結びの要のお方です。いのちの親様の信任をうけて、人の世の鍵を握っているのです。大王はそんな気負いも一切持たず、少し茶目っ気さえあって楽しいお方です。

ナビ大王「田之助くん

目が半分

閉じているんだが

どうしたんですか」

 田之助の寝不足の理由を知りながらナビ大王は田之助をからかっています。

ナビ大王「今日は晴れて

気分のいい日ですねえ

田之助くん

お前の誕生日は

二二日ですし

今日は

めでたい

二二日であるから

日本最古の神宮に

行くことにしましょう

いざなぎ神宮です!

しっかりつかまって

いてくださいね」

と言い終わると、無音光速エンジンに点火して一気に神宮めざして発進しました。

 何事かと目覚めたミロクの亀は、あっ感じる! 感じる! といいだしてしきりに何かを察知している様子です。田之助には、ミロクの亀が何を感じているのかいっこうにわかりません。

 いのち舟はいざなぎ神宮の浄水所に到着しました。ナビ大王は、田之助が何を感じてくれるのかやさしく無言で見守っていましたが、その時、ミロクの亀が一番に喜びだしたのです。浄水の水口には「翁亀」が待っていたのです。田之助もそれに気づきました。来る途中でミロクの亀が、感じる! 感じる! としきりに言っていたのは先輩の翁亀のことであったのです。

 そればかりか、神池に廻ってみるとそこには天高く一筋の噴水を吹き上げている「翁亀」があらわれたのです。田之助とミロクの亀は跳びはねて喜びました。それには、絵図面を描いてくれたナビ大王のやさしい心くばりがあったのです。

 いざなぎ神宮は、国内一一万神社中最古の神社です。祭神は、いざなぎの大神といざなみの大神の二神です。今の伊勢神宮に移す前に、国始まりの二体のご神体として祀られたという神宮であります。

 ナビ大王とかずたま姫は、いのち舟の前後に陣をとって、田之助を守り、心をしっかり受け止めて、次々と出会いの縁を結んで下さっています。そのことはずばり、田之助の心掛けひとつで運命の明暗の扉が開閉するということにもなります。

 いのち舟は光の舟です。舟の行き先を遮るものはありません。田之助は、ミロクの亀と出会ってから、そのことがうっすらと判るようになってきました。

 いのち舟が次に立ち寄ったのは、源義経の妻・静御前の墓の前です。いったん停止して、一際かがやく光を三回点滅してあいさつをすると、次の案内へといそぎました。そこは高田屋嘉兵衛記念館です。

 高田屋嘉兵衛は、日本海の西回り航路を開いた回船業者ですが、田之助の生まれた酒田港には特にご縁の深いおかたであります。

 ナビ大王には不可能は無いにひとしく、田之助に必要なことだけを学ばせて次へと進んでいきます。今度は、大鳴門橋記念館です。巨大な渦潮のうねりが大地にまでひびいてきます。

 海底の地形と潮の干満による渦潮はさながら宇宙のブラックホールにも似てあらゆるものをのみ込むようなのです。また台風の渦巻きのようでもあり、自然エネルギーはそれ自身いのちの調和力と考えている田之助は、いのちの不思議な力にのめり込んでいきます。

 いのちは常に呼吸をしています。草木も動物も、ミクロの世界の生き物たちも、マクロ世界の宇宙にしても、あらゆる存在が呼吸をしている…呼吸はいのちの根本機能なのだと田之助は、いつになく難題をもちだして自問自答していました。ナビ大王もかずたま姫もそのことをよく知っていました。

 このまま田之助が渦潮とこれ以上向き合っていると次へ進むことすらできないほどに真剣でしたので、明日のことを思ったナビ大王はいのち舟を出発させたいと思っていました。それを察してミロクの亀が田之助に「先に行ってもいいかい…田之助くん」と、声をかけるとはっと我に返った田之助は

田之助「いけねぇ、

いのちのことは

ナビ大王たちに

聞けばよかったんだ

すまんすまん」

と言いました。ナビ大王は明日のことを優先させていのち舟を発進させました。しばらくして到着したのは今夜の宿泊地、香川県引田町内の誉田八幡宮の境内です。舟のデジタル時計はPM・八時〇九分と表示されています。

 今夜は旅に出て四日目のことであり、もっとも疲れがたまるころであり、ナビ大王は田之助を早めに休めることにしたのです。

 田之助はものも言わずにすぐ深い眠りにつきました。ミロクの亀も田之助に寄り添ったまま眠っていました。それを見ていたナビ大王は左目をパチリとまばたきすると、ナビ画像がでてきました。映し出された画像を見ていたナビ大王は、明日は忙しく賑やかになるぞ、と確かめてから右目をパチリとやって画像を消しました。

 ここで人類の未来映像を見ようと思えば、即刻、ナビ大王には門扉が開かれますが、いのちの親様からは、そこまでの許しをもらっていません。今は人間たちの心と運勢運命、そして、縁結びを担当するだけです。それでも、いのちには休みはありません。ナビ大王は年中無休で地上生命たちに奉仕しているのです。

 夜は明けて日付は六月二三日・土曜日となりました。五時二五分に起床したばかりのところにひょっこりナビ大王が顔を出しました。というより、田之助には顔が見えないから「声の顔」といったらいいのかもしれないのですが。

ナビ大王「田之助くん

おはよう

ちょっと早いが

学びと思って

聞いてください

というのは…

亀のことですが

亀というのは

文字ですよね

この文字というのは

心に思うと

生きてくるんですよ

 

「前編―旅立ちから屋久島へ」(三三頁まで)より

 

 

 

 

(中略)

 やがて七月一七日・火曜日となりました。夜明け前、田之助は夢オヤジの声を聞いていました。

夢オヤジ「シゲルやシゲル

 母シゲエの悲願おめでとう

 蔵治爺さん、金江婆さん

 神妙に受け取りうれし涙にくれていますぞ

弥門爺さんは天下晴れてうれし涙ですぞ

母シゲエはいうまでもないことだ

さてここでわしから一言申し添えておこう

〝仲睦ましことの至福かな

霊界ぐるみで示される〟」

と言いおいて、夢オヤジは消えたのです。

 目を覚ました田之助は、晩餐会のあとかたづけをして花屋の開店を待ちました。そして、蔵治爺さんの墓参をすますと、大王が

ナビ大王「田之助くんおめでとう

Uターンの最後を飾ったいい出会いでした

それでは帰路につくことにしよう」

と、言い終えると、いのち舟は墓の上空を三回左旋回して、さらに上昇して東京湾を抜け大島上空に達しました。

 そこで大きくぐるり左旋回して千葉県上空を一直線に福島県に入り、国道一二一号線上空を進みます。大王はナビ画像を見ていて

ナビ大王「田之助くん

布団が恋しくなったようだなあ」

と言いました。田之助ははっとしました。どこか静かな民宿にでも…と思っていたところです。また、多磨霊園でのことを妻に知らせておきたいとも思っていたのです。すぐに大王から反応があったので、いのちの見守りには頭があがらんと感じました。

 音もなく抜けるようにして軟着陸をした所は、民宿「わがつま」の庭先でした。ここは国道一二一号線沿いの田島町の中ごろです。民宿のことを思い、妻のことを思った時、民宿「わがつま」となったのです。この時、珍しくもミロクの亀が出てきました。

ミロクの亀「田之助くん

妻のこと思っていたって?

恋しかったのかい?

へぇー大王さまはすごい気配りだ

この民宿の名は「わがつま」(我妻)だよ

できすぎでしょう」

と、田之助はミロク様の冷やかしの的になっています。それでいて側から離れないのはうれしいことです。

 それにしても、妻のことを思ったときに「わがつま」との出会いとなるのですから、ミロク様の言うとおり…できすぎでしょう…となるのです。

 夜が明けて、七月一八日・水曜日となり、出発間近というとき、皇子のケータイにメールが入ったのです。意外なことに、夢オヤジからでした。

夢オヤジ「もじたま担当の皇子くん

田之助くんに伝言をお願いします

-電文-

〝シゲルやシゲル

民宿「わがつま」(我妻)に泊まったとのこと

こちらでは妻(富美子)が路上から

花鋏はなばさみを拾ったぞ

銘柄が「吾妻川」というのだ

いくら離れていても澄んだ川の流れのごとく

わが妻は田之助と結ばれていること

かたく承知してくれよ〟以上です。よろしくたのみます」

と、夢オヤジから伝言されたもじたまの皇子は、田之助にそのことを伝えたのでした。

 ところが皇子にしてみれば、夢オヤジより早く昨夜のこと、大王がナビ画像を見ているとき、既にその花鋏を拾う姿を確認していたのです。表で現実に起きる前に、その出会いの流れを、いのち舟スタッフはすでに知っていたのです。

 心霊マグマ世界のグラフの動きと、出会い者の心の動きを統括統合して、その進路と出会いの縁を判断するのがナビ大王の使命なのです。魂は生き生きと浮き沈みを繰り返しています。魂には新旧はありません。

 離合集散する心霊マグマのエネルギーの強弱を、グラフで表示できるようになっています。その表示表現を代理するのが

「文字・数・色」(文字的・数的・色彩的)

という文明の利器にほかなりません。

 人間が人間であるための、人類の魂の表現を代弁するエージェント(代理人)として、文字・数・色を駆使することによって、人間は突出した高度の生物に変化しました。

 文字・数・色は、人類の文明文化の確固たる土台となっています。すでに人類の魂表現の代理人の働きをしているのです。

 このことを田之助は、人類文明の三愛の神器と考えています。人間の心を託された文字・数・色から発する意志性波動は、魂の表現であり、磁気・磁波・磁性体だと考えています。人間社会から、これら三愛の神器を抜き取ったなら、人は単なる動物種にすぎません。

 さて、田之助が民宿「わがつま」に泊まったのも、妻(富美子)が路上から花鋏「吾妻あづま川」を拾ったのも、魂の代理人となった文字の共振共鳴のなせる姿でした。お互いの心とともに、文字・数・色が、心の代理となって天地を巡ります。人類文明の三愛の神器は、縁結びの生き証人でもあるのです。

 いのち舟が「わがつま」を出発したのは、朝の八時一六分でした。国道一二一号線上空を北へ進んでいます。会津若松市・喜多方市と進んだところで、ナビ大王はいのち舟を急上昇させました。

ナビ大王「田之助くん

今日は見渡す限り雲一つなく日本晴れだ

桧原湖と西吾妻山(二〇三五m)を眼下にして

いのちの洗濯とゆこう

東には東吾妻山(一九七五m)と

吾妻小富士(一七〇七m)が並んで見える

すばらしい大パノラマだ

どうじゃな田之助くん

どちらを向いても

あづま(わが妻)の山々ですぞ

ミロクの亀くんは出てこんかな

なんか言われそうだなあ」

と言う大王は、童心にかえっています。田之助は知らずのうちに大王様からも酒のさかなにされていました。共に喜びでいっぱいの田之助です。

 いよいよいのち舟は西吾妻山頂の真上に来ました。その時頂上にぴたり視線が合った田之助は、時計を見て、一二時一九分であることに度肝を抜かれてしまいました。それと同時に、かずたま姫から声をかけられました。

かずたま姫「田之助さん

酒の肴にされるのもいいことですよね

みんな楽しくなるものね

今「一二時一九分」で驚いていたけど

あなたの心がきれいになってきた証拠なのよ

多磨霊園前での晩餐会の面々も一緒なのよ

二一日命日の三女性

更に、一九日命日の三男性でしたね

一二時一九分の一二時は、二一(=一二)命日の魂で、

一九分は、一九日命日の魂で

祖父母たち皆さんそろって

喜びが一緒なんですよね

そういえば更に国道は一二一号線でしたね

また民宿・わがつまの弘子母さんは

昭和一二年生まれでしたね

いのちの世界は出会いの縁で

皆、仲良くなることを願っているのですよね」

と、姫の話は終わりました。

 田之助は姫の話ではっきりわかってきました。一つ一つの出会いの縁には、何一つむだがないことを知ったのです。

 いのち舟は、米沢市上空を通過して国道二八七号線上空へと向きを変えて北上しています。

 白鷹町に入ったころは、西の空も茜色に染まって、山里には夜のとばりが近づいていました。この時、いのち舟の中ではちょっとした動きがあったのです。ミロクの亀がナビ大王さまに緊急動議をだしたのです。

ミロクの亀「大王様

お願いがあります

田之助のふる里が目の前に来ております

大王様一同今晩はゆっくりと

旅の疲れをいやしたいと思うのですが…

そこにはボクの同僚も待っています

ぜひお待ちすると言っております

そこは白鷹温泉の大森荘という一軒宿です

よろしくお願いします」

と、ミロクの亀はいつになく、改まってのあいさつです。

 ナビ大王は、終始ニコニコして聞いておりました。

ナビ大王「ミロクの亀くん

よく気づいてくれました、うれしくおもうぞ

田之助くんの旅は明朝の帰宅で終了します

一同ゆっくり白鷹温泉宿で語り合おうではないか

それにしても夢オヤジが見えないが

田之助くん知っているかい」

と、大王に聞かれた田之助は何も知りません。すると、もじたまの皇子が、

もじたまの皇子「大王様、

先ほどケータイメールで、

少々遅れるからよろしくと

言っておりました」

と言うのです。それを聞いていたミロクの亀が、くすくす笑い出したのです。田之助くんが眠らんことには、夢オヤジは顔ださんのでしょう…と言ってから再びくすくす笑っています。一同も、もらい笑いをしています。ミロクの亀は、宿の同僚たちに会うことができて大変気をよくしているのです。

 田之助がそのことを知ったのは、大浴場と大広間に海亀が精気あふれる姿で待っていたのを見たからです。

 その夜、田之助は、大の字になって、天井を見つめながら旅の思いにひたり、何思うこともなく頭の中は空っぽになっていました。

 亀との出会いは一九ヶ所にわたっていました。これを世に言う偶然として無視することは田之助にはできないと思いました。

 出会いの縁にはすべてにおいて、魂の意志性があると確信をしていたのです。そのあかしは、この旅の現象で充分だと思っているのです。

 出会いの縁は、心のひびき合いであり、魂の振れ合いであり、人生の道明かりになるシンボルであると思ったのです。その道明かりのあかしとなるのが、文字・数・色を媒体とする、旅の体験にあるような共振共鳴の心(魂)の表現スタイルだと田之助は思っています。文字的表現・数的表現・色的表現こそ、人間の魂(心)を代弁する媒体であり、人類文明の土台となる「三愛の神器」の姿であると田之助は考えるようになったのです。

 縁には、点、点、点と起こる単独の縁があります。「袖振り合うも多生の縁」と言われている一過性の縁でも、それらは、人生のターニングポイント(転換点)となる運命的な「本縁」を導くための「役縁」の明かりだと田之助は考えたのです。

 一九回の亀と出会ったその一回一回は、役縁の明かりと考えてもよいでしょう。また、最終日の明日が一九日というのも魂の意志性の現れと言えます。だが一点一点の亀との出会いは、魂は不滅だと田之助が確信するまでの、道のりを照らす役縁の灯火であり、人生転機の本縁にむすぶ一本の道であることがわかったのです。

 この場合の田之助の本縁とは、死んでも魂は死なず、即ち、魂不滅の確信を得るための亀の旅だと思ったのでした。

 表の世界で生きているためには、内なるいのち舟の中の、ナビ大王たちスタッフ一同の働きが必要であり、それなくしては何一つ実現できないことを知ったのです。

 今の心をベースにして、人生の方向を舵取りするナビ大王。表世界の心ごころを、リアルタイムにとらえて、深く巨大な心霊マグマ世界を見すえながら、いのち舟の客人である本人の人生を舵取りする仕組みが内なる世界です。時計ならば、表の時刻表示のための、見えざる内なるメカニズム。それこそが、いのち舟のナビ大王スタッフ一同の働きなのです。

 田之助は、止めどなく湧きでる思念の中で、いつしか深い眠りについていました。すると、夢オヤジの声が聞こえてきます。

夢オヤジ「シゲルやシゲル

明日はいよいよ帰宅ですなあ

明日は友達の車で

妻が迎えに出ると言っていますぞ

羽黒山の参道入り口で

十一時には待っているというから

そのつもりで頼んだぞ」

と言って、夢オヤジは消えていきました。

 翌七月十九日・木曜日、宿を出発したのは九時五〇分でした。いのち舟は高度を上げて北に進み、寒河江市上空手前から一気に北西方向へとスピードを上げました。

 月山(一九七九m)を眼下にして、朝日村上空経由で羽黒町に入ります。その時、ナビ大王は、高度をぐんぐん下げたと思うと、操縦を手動にシフトしました。それと同時にいのち舟の中は、得も知れぬ真空感につつまれて、田之助は、心も体も浮き出して失心状態になったのです。その時です。あのエコーのきいた天上からの声がしたのです。田之助は、いのちの親様であることがすぐにわかりました。

命の親さま「田之助くん

ようやくキミを

奥様のところに返すことになった

いのち舟の乗り心地はどうだったかな

ナビ大王スタッフ一同

君との旅を喜んでいますよ

今回の体験を

尊く心して暮らせよ」

と言うなり、エコーはぴたりと消えたのです。

 天地は静まり、いのち舟の前方には羽黒山の大鳥居が迫っていました。大鳥居がぐんぐん巨大になったかと思ったその瞬間…、大地を揺るがす旋風とともに、いのち舟は右へと急速回転を始めました。それが絶頂になったその時、いのち舟は大鳥居の中に吸い込まれたのです。

 あまりの突然のすごさに茫然自失となった田之助がわれにかえった時、なんと日産パルサーのハンドルを握りしめて、羽黒山参道入り口に静かに停車していたのでした。

 気がつくと、フロントガラスの前方には、妻と友達がニコニコ手を振っていたのです。夫のシゲルは妻のフミコと、夢のごとくに再会したのです。そして、みなさんと一緒に、羽黒山の参道深くへと入って行きました。

 

 

 

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