共時性と因果性
C.G.ユング氏は、著書『自然現象と心の構造』のなかで、共時性について次のように述べています。
一般的には、因果性と共時性を別の原理として考えるようですが、それは、哲学や物理学における因果性の解釈を考慮しているからです。くわしくは、後で述べることにして、まずは『自然現象と心の構造』から抜粋してみます。
※「4. 自然と宗教と科学」および「5. 思想に左右される世界観・生命観」に記述
たしかに、生きている私たちの体が存在している物質の世界は、時間や空間が支配的で、私たちの体はそれらに逆らうことができません。そういう限定された条件のもとでは、相応の時間と労力をかけて丹念に研究すれば、ついには原因と結果の関係がつきとめられる場合もあるので、その性質を利用して高度なものづくりや医療を進歩させることができたのだと考えられます。いっぽう、心の世界は、時間や空間によって位置を定めることは、ほぼ不可能です。つかみどころがないので、原因と結果の関係も一層つかみにくいと言えます。